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札幌が舞台の話題作!2020年4月放映のTVアニメ『波よ聞いてくれ』新千歳空港での先行上映会&イベントレポート
2019年11月3日(日)、北海道・新千歳空港内のポルトムホールにて、2020年4月より放送を予定するTVアニメ『波よ聞いてくれ』の先行上映会&トークイベントが開催された。本イベントは、世界中のアニメーション作品を一堂に集め、コンペティションなどを行う「第6回新千歳空港国際アニメーション映画祭」の特別プログラムとして実施。
原作『波よ聞いてくれ』は、人気作『無限の住人』などを描く沙村広明氏により、講談社の漫画雑誌『アフタヌーン』で連載中。アニメは『機動戦士ガンダム』『ラブライブ!』で有名なサンライズが制作を手掛ける。
本作は、札幌在住、スープカレー屋で働く鼓田ミナレが、地元FM局のディレクター・麻藤兼嗣に失恋トークを語ったことからストーリーが始まる。麻藤に才能を見出されたミナレは、やがてラジオパーソナリティにスカウトされ、深夜3時半から放送する冠番組を持つことになる。北海道を舞台に、ラジオと人間模様が掛け合わさるヒューマンドラマだ。
キャラクターの作画と、セリフの母音が合う職人芸
今回のイベントでは、アニメ第1話の先行上映会のほか、鼓田ミナレ役の杉山里穂さん、南波瑞穂役の石見舞菜香さん、甲本龍丞役の石川界人さんが登壇し、トークショーや朗読劇を通じて、観客に作品の魅力をアピール。また、原作を描く漫画家の沙村広明先生も登場し、ライブドローイングを披露した。
第1話の上映終了後に、MCを務めたMBS(毎日放送)の鈴木健太さんの呼び込みで、キャスト3名が登壇。主役を務める杉山里穂さんは「自分は北海道出身で、北海道を舞台にしたアニメの主人公を演じるのは、声優としての夢のひとつでした。さらに先行上映が北海道からスタートで、本当に嬉しい気持ちです」と喜びをにじませる。
作品を鑑賞した感想を聞かれると、石見舞菜香さんは「第1話の台本をいただいたときに、ミナレさんのセリフが台本を埋め尽くすほどで、びっくりしたんです。今回はキャラクターの口の開き方が、こだわりのポイントだと聞いています。ぜひ、オンエアの際には注目していただけたら」と伝えた。
これには石川界人さんも同意して、「相当に手間がかかっていますよね。第1話ではミナレが熊と戦うシーンの作画の細かさなど、さすがサンライズさんだなと思いました」と、制作陣の意気込みを代弁した。
この日、完成版を観るのを楽しみにしていたという沙村広明先生も「(原作からして)万人受けするものを作っているつもりはなかったのですが、第1話を見ても、この作品の“メチャクチャさ”がよく伝わっていた」と笑顔を覗かせた。
アニメキャラ初の札幌観光大使に就任
それぞれのキャラクター紹介を経て、鼓田ミナレが「札幌観光大使」に任命されたことに話題は移った。テレビアニメのキャラクターとしては初めての観光大使として、札幌市の企業や団体とのコラボレーションや、アニメ公式Twitterでの札幌情報の発信など、作品の放送外でも北海道や札幌市のPRを担っていく予定だ。
また、去る10月7日にはエフエム北海道(AIR-G’)にて深夜3時32分に実施された、原作になぞらえたゲリラ放送も話題に。北海道の企業や団体とも協力しながら、アニメの枠を超えた活動をしていくことへの期待が寄せられた。
その後、本作に舞台にちなんだ「北海道クイズ」のコーナーも行われた。石見舞菜香さん、石川界人さんは難読地名や偉人の歴史に悩むなか、北海道出身の杉山里穂さんは全3問を難なく正解。まさに面目躍如の活躍を見せていた。
沙村広明先生のライブドローイングに驚き
トークイベントの傍らで、沙村広明先生が舞台上でライブドローイングを開始。下書きなし、アナログ画材を駆使し、登壇した声優陣のキャラクターであるミナレ、瑞穂、甲本の3人が並ぶイラストを描いていく。
その作画に感嘆の声を上げつつも、キャスト陣は沙村広明先生から「原作の膨大なセリフ」の書き方について教わったエピソードを明かした。たとえば、「インスタントコーヒーを薄めて麦茶として客に出す」というミナレの一言は、以前にテレビで見た“節約術”から派生したという。
「日常的な情報をキャッチし、少しでも引っかかったことを活かすようにしている。役者でも大事なことですね」と石川界人さんが話すと、壇上の面々は深く頷いていた。完成したライブドローイングは ポルトムホールのロビーに展示され、観客は間近で見るイラストを楽しんだ。
さらに、舞台では『波よ聞いてくれ』の原作を再現する朗読劇も展開された。実は、この日が「生朗読に臨んだのは初めてだった」と明かした杉山里穂さん。それを感じさせない演技に、会場からは惜しみない拍手が贈られる。
沙村先生「餅は餅屋」と太鼓判!熱量の高い現場で制作が進む
イベントの終盤では、登壇者からメッセージが述べられた。沙村広明先生は「アニメ化の話が来たときには、どのように12話分のストーリーを区切るのかと心配していたんです。ただ、スタッフの皆さんと打ち合わせをしてみると、非常に“餅は餅屋”だと感じました。今はひたすら放映が楽しみです」と期待を寄せた。
自身のラジオ番組も持つ石川界人さんは「この作品はラジオに携わる人間からしても面白いです。ラジオは開かれすぎているわけではない、けれどオープンメディアで、なおかつパーソナリティの個性を前に出せるのが魅力。ラジオの“あるべき姿”を改めて考えられました」と伝え、現場を作るキャラクターの生き様にも注目してほしいと締めくくった。
石見舞菜香さんは「現場もすごい熱量で魂を吹き込んでいます。ラジオを題材にした作品はなかなか無いと思いますが、ラジオパートだけでなく、日常パートでもくすっと笑える瞬間がたくさんあります。まるっと、楽しんでいただきたいです」と笑顔を添える。
杉山里穂さんは「自分の限界に挑戦しつつ収録してきましたが、作画の方たちから『今のままでは声に絵が負けそうなので頑張ります!』とおっしゃっていただけたのは嬉しかったです。みんなが高め合って全力を出している素敵な作品。このテンション感を保ったまま、放送に向かって楽しんでいきたいです」と制作陣の熱気を明かした。
最後に観客との記念撮影を行い、上映会を含む約2時間のイベントは幕を閉じた。